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現在の位置: TOPページ > 研究紹介 > 2009年度の研究紹介 修士課程(STM班)
更新日:2009-11-19
修士STM班の実験
文責 表面物理学研究室修士1年 堀井広幸
泉水一紘
私たちは、走査トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Microscopy,以下STM)を使って実験を行っています。
STMでは、金属の針をサンプル表面にぎりぎりまで近づけ、量子力学でおなじみの「トンネル効果」によって流れるトンネル電流を検出します。そして、このトンネル電流を一定に保つように、針で試料表面をなぞることによって、表面の凹凸を画像化します。図1は、針で表面をなぞる様子を表した模式図です。
STMでシリコンの表面を観察すると、図2のような画像が得られます。この画像の丸い粒は、シリコンの表面の原子です。このように、STMは分解能が非常に高いため、試料表面の原子一個一個がどのように配列しているかを見ることができます。
図1.針で表面をなぞる様子 図2.Si(111)7x7表面のSTM画像

具体的な研究内容は、真空蒸着法によってシリコン基板上に銀原子を吸着させていき、銀が結晶化するまでの過程を原子レベルで観察することです。シリコン基板に銀原子が吸着すると、三角形のサイトの中を動き回るため、STM画像では図3のように三角形に光ります。


図3.Ag原子が吸着したSi(111)7x7表面のSTM画像

表面上に吸着した原子は、基板の熱によって表面上のサイト間を移動し、凝集していきます。図4は、シリコン基板上に吸着した銀原子が隣のサイトに表面拡散、凝集する過程を捉えたSTM連続画像です。


図4(a).Si(111)7x7表面j上で拡散するAg原子のSTM連続画像

図4(b).Si(111)7x7表面j上で凝集するAg原子のSTM連続画像
私たちは、このようなシリコン基板上の銀原子の拡散や凝集の過程を研究することによって、表面やナノ構造の持つ独特の物性について明らかにしようとしています。 現在、半導体デバイスの小型化は急速に進んでいて、ナノスケールでの物性のさらなる理解が必要とされています。そのため、私たちの行っている研究は、科学的な価値だけでなく、応用の面でも大きな可能性を持っています。
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