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更新日:2011-12-8
修士EELS班
文責修士課程2年松下 ステファン悠

私達のグループではHREELS(高分解能電子エネルギー損失分光法)と呼ばれる装置を用いて研究を行っています。
HREELSは低速の電子を用いて表面における様々な振動(励起)状態を測定する装置です。電子が物質の表面に衝突して散乱するとき、表面の原子や電子の振動によって入射電子のエネルギーの一部が吸収されます(図1)。このエネルギーを観測することで物質の表面がもつ様々な性質を解明しています。

図1. 電子の散乱と表面振動

現在の半導体デバイスは主にSi(100)が使われていますが、Si(110)表面は正孔の移動度がSi(100)の約2.5倍高く、次世代の半導体デバイスとして注目されています。
現在、私たちのグループではSi(110)表面を水素でキャップした水素終端Si(110)-(1×1)表面(図2)の表面フォノン(表面原子の振動)測定を行っています。図3にHREELSで測定したこの表面のスペクトル例を示します。この表面に固有な水素振動の他、表面汚染である炭素の振動が現れています。このような振動ピークの有無や強度比から、表面の品質評価や表面の性質の解明をしています。

図2. 水素終端Si(110)-(1×1)表面の原子モデル
図3. HREELSによる水素終端Si(110)-(1×1)表面の汚染評価スペクトル
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