はじめに | 学生のみなさんへ | 研究室の様子 |
はじめに | ||||||
文責 表面物理研究室 教授 須藤彰三 | ||||||
表面物理学研究グループでは、半導体・金属表面を原子レベルで物性物理学を研究する最適の系と考えて実験を進めています。特に、(1)バルク(固体)にはない表面の特有の物理現象の探求と(2)固体の物性が、表面の境界条件のために際立って観測できる現象に注目しています。 具体的なテーマとして、現在は、次の2つを取り上げています。一つは、走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて、1個1個の原子の運動から、核形成、ナノクラスター形成、そして結晶成長まで理解しようとしています。量子力学と統計力学が有効な手段です。もう一つは、マクロな表面の分光とミクロな表面構造の関連、光学応答の研究です。そのために、表面での分光測定に最適な電子エネルギー損失分光器を用い、ミクロな原子構造を観察できる走査トンネル顕微鏡(STM)との複合測定で、その分光スペクトルの起源を明らかにしようとしています。電磁気学と量子力学が有効な手段です。 その例として図1に、シリコン表面上の銀原子一個の運動を示します。STMを用いると、シリコン表面は、6個のシリコン原子が3角形を形成しているのが観察されます。明るい3角形には、銀原子が1個存在し、三角形の中を動き回っているために、6個のシリコン原子が明るく見えています。2分後には、1個の銀原子が隣のサイトに移動した様子が観測されています。これを、2個、3個と増やして、7個までの過程が理解できています。それを数十、数百個からなるクラスターまでの成長機構を理解しようと量子力学と統計力学を用いて研究しています。
図2(a).PtSiのナノ構造 図2(b).電子状態 |