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更新日:2009-11-19
学生のみなさんへ
文責 表面物理研究室PD 加藤大樹
泉水一紘

私達は、固体表面上に現れる様々な現象、及びナノサイズの物理を対象として研究を進めています。つまり、物の境界と小さな物を扱う訳です。どちらも、これまでの大学の授業ではあまりなじみの無い領域かもしれません。また、両者にはどういった関係があるのか、と考えられるかもしれません。まず、このことについて簡単に説明したいと思います。

表面とは

固体を扱う上では必ず、表面とその内部に分けて考えなければなりません。一般的に固体の性質を研究する場合はセンチ、ミリ、マイクロの巨視的な物質を取り扱い、それらはバルク(bulk; 塊の意味)と呼ばれます。固体の内部は当然のことながら、バルクの性質を有します。これに対し、固体の表面では、結晶の周期性が破れ、固体内部とは異なる特徴的な構造、電子状態、振動状態が存在しており、その影響は原子数層程度までに及びます。
 勿論、その様な特異な状態としての表面の物性は興味の持たれるところですが、表面は固体と外部が接触する箇所であることから、結晶成長、表面反応、直接的な物理現象解明の場として、我々は表面を利用した研究を進めています。

表面とナノサイズの物理

一方、ナノサイズの物理ですが、最近は“ナノ”という言葉を耳にする事が多いかと思います。ナノと偏に言っても、現実にはナノでは無く、数百ナノ、つまりサブマイクロサイズでの現象を取り扱う事もあります。勿論、様々なサイズ、形状の構造について、多様な興味の下に研究が進められており、それらがナノサイエンス、ナノ物理として一つの研究分野を成しているといえるでしょう。私達の研究室の興味の対象としているのは、ナノサイズから原子数個の物質の示す物性です。
例として、一辺が原子1億(108)個程度の立方体を考えましょう。これは非常に巨大な物体に思えるかもしれませんが、原子一個の直径を1Å(水素原子一個ほど)とすると、一辺は1 cmに相当します。一つの表面あたりの原子数は、1016個になり、立方体中の原子数は1024個となり、

表面 : バルク = 1 : 108
と表面の性質は重要ではありません。しかし、一辺が原子一万(104)個程度、千(103)個、百(102)個、、、だったらどうなるでしょうか?当然表面の原子の影響が強く現れる事が期待されます。

このように、日常的なマクロの世界と異なり、更にサイズを落としていった先にあるナノの世界は、表面の効果が強く現れることから、表面に関する知識が必要となる対象です。また、その様なサイズの物質を形成させる技術、観測する手法は表面科学的な技術を多く含んでおり、表面科学分野と切っても切れない関係にあるといえるでしょう。

表面だから出来ること

私達は上記の事を踏まえ、表面上の金属原子の運動ダイナミクスの解明と結晶成長の初期過程である核形成の直接観察、表面振動状態の測定、シリコン表面の化学処理法の開発、表面上の金属ナノ構造のプラズモンについて、研究を進めています。それぞれの研究の中身の内の幾つかについては、他項で説明をしたいと思います。

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