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修士STM班の実験
文責 表面物理学研究室修士1年 泉水 一紘
私たちのグループでは走査型トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Microscope,以下STM)という装置を用いて実験を行っています。この装置の分解能は従来の装置よりはるかに高いもので、原子の並ぶ様子がはっきりと観察されます。

STMでは試料に小さな針をぎりぎりまで近づけ、量子力学でおなじみの「トンネル効果」によって流れるトンネル電流を測ることによって試料表面の凹凸を画像化しています。トンネル電流は距離に対して非常に敏感であり、これをモニターしながら針を動かし、表面を観察します。下の図はSi(111)のSTM像とトンネル電流の値が一定になるように動かした時のSTMの概略図です(上が針の先端、下が試料)。その動きを記録し映像化しています。

Si(111)7x7 STM像 1

STM概略図

STMの特徴としては、探針の電子の波動関数と試料の電子の波動関数の重なりを見ているので、実際の凹凸ではなく試料の電子状態を実空間で直観的に観察できると言うことがあげられます。同一試料を観察しても、探針と試料の間の電圧を変えれば、フェルミ面の位置関係でどのエネルギーを持っている電子を選ぶかを変えられます。下の図は下半分をsampleの電圧を負で、上半分を正で観察したものです。

Si(111)7x7 STM像 2
また探針の動きを制御することにより原子一個一個の操作する技術も開発されています。原子と探針との相互作用は距離依存するので、探針を動かしたい原子に近づけ任意の安定点に動かすことができます。

原子操作概略図
現在はこのSTMを使って、原子数個から数十個のスケールでの結晶成長の初期過程を観測しています。薄膜作製技術は研究用試料、工業製品など幅広く使われており、ナノスケールでの研究や製品の小型化向けて結晶成長の初期過程の研究は重要になってきます。

具体的には半導体基板上に金属原子を吹き付けて、その後の金属原子の挙動をSTMでの連続観察によって研究しています。現在マクロスケールでの結晶成長とは違った成長機構であることが分かっており、その解析、制御を目指し研究しています。
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